注文住宅を建てる際、最も施主自身の好みで選んだほうが良いのは、外壁です。
間取りや内装は営業やデザイナー任せでも、それなりに住みよい家になります。
もしかすると、すべて丸投げの方が良い家が出来るかもしれません。
ただ、外壁はそうはいきません。
見た目の好みは十人十色。素晴らしいデザイナーが良いと思ってつくっても、なかなか他人には好ましい評価を受けないことさえあります。
外壁は、あなたの家を表す顔や服であり、選び方によって、耐久性や個性、メンテナンス、何から何まで変わってくるのです。
また、外壁は耐久性の差が激しい物でもあります。
外壁の種類
外壁の種類は、大きく分けて以下の通りです。
- 窯業系サイディング
- 樹脂サイディング
- ガルバリウム鋼板
- モルタルおよび仕上げ塗工
- タイル&レンガ貼り
- ALCやコンクリート
窯業系サイディング
今現在の日本で最もポピュラーな外壁材です。
コストも安く、施工も簡単なので、見た目にこだわらない人にはオススメです。
昔と違い、現代の窯業系サイディングはかなり作りも良くなっています。
メリットとしては
- 安い
- 施工が簡単でトラブルがほぼ無い
- 耐火性の高い物が多い
- メンテナンスが楽
デメリットとしては
- 見た目が良い物が少ない、安っぽい
- 継ぎ目が外観を損なう
- 塗り替えで圧倒的にダサくなる
現在の窯業系サイディングは一昔前の物と違い、10年程度でボソボソになるような事はありません。また、汚れも目立ちにくいものが多く、表面の加工によって汚れ自体も落ちやすいです。
ただ、やはり見た目が安っぽい物が多く、また、経年劣化で少しずつ見た目も悪くなっていくので、100年もつ家の外壁としては難しいと思います。
ただ、30年スパンで張替えの考えるのなら、張替え時に壁内のメンテナンスも出来るので、良いのかもしれません。
樹脂サイディング
樹脂サイディングは輸入住宅に多く採用されているサイディングで、樹脂製で立体感のある物になります。アメリカでは最もポピュラーな外壁材で、これにするだけでアメリカ風の家になります。
- メリットとして
- 見た目が華やかで美しい
- それ自体が断熱性能がある
- 手入れ・取り換えが楽で簡単
- 継ぎ目がない
- 軽くなるので耐震性が高い
デメリットとして
- 耐火性能が低い
- 変色がある
- 値段が少々高い
樹脂自体は燃えないのですが、溶けてしまって躯体の防火には役立ちません。
また、素人でも出来る施工が人気で、気に入らなければ自分で取り換えることも不可能ではないです。
また、モールディングなど、飾りなどもセットで用意してあるメーカーが多いので、デザイン性を高めやすいのが特徴です。
まだ日本にあまり入ってきてないので、日本での耐久性は未知数なところがありますが、劣化時に取り換えが容易に効く、というのは魅力的です。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は金属製の外壁材で、近代的な見た目になります。フラットな外観になるので、家全体が入隅、出隅の多い遊びの有る間取りにオススメです。
また、最近ではアウトドアテイストのデザイナーズ住宅にも採用され、注目されています。
メリットは
- 軽いので耐震性が高くなる
- 継ぎ目がない、独特の凹凸が美しい
- 施工が簡単で期待性能が叶いやすい
デメリットとしては
- 平面的な作りの家だと安っぽく感じる
- 傷が入るとそこから錆びる
- バリエーションが少ないので被りやすい
注意しなければならないのは、ガルバの亜鉛溶融メッキ、アルミメッキは永遠に持つものではなく、およそ20年ほどから錆びてきても不思議ではありません。
錆びはエイジングとして楽しみたいものではありますが、さすがに外壁に錆が出て心安らかにいられる人はいないと思います。
モルタルおよび仕上げ塗工
モルタルおよび仕上げ塗工は、ラス網というものやラスカットという板にモルタルを塗り、全面を覆った上に仕上げ材を塗工、もしくは吹き付けたものです。見た目は仕上げ材で全く変わってきます。
耐久性も仕上げの美しさも左官の腕で全く変わってきますので、信頼できる左官を抱えている建築会社を選ぶ事が重要です。
素人に毛の生えたような左官に施工された場合、本当にひどい事になるので、注意しましょう。
メリット
- 塗り壁は一体感があり、美しい
- 耐火性が高い
デメリット
- 重くなり、耐震性が下がる
- ひびが生えると雨漏りの元になる
- 有機系の仕上げ材(ジョリパッドなど)だと劣化が早い
ただ、モルタルは仕上げ材次第でまったく変わったものになります。
古くからあるリシン吹き付け仕上げだと、安いし仕上がりが安定しますが、昭和風で古臭くなり、立体感もありません。
ジョリパッドなどの有機系の仕上げ材だと、多様な色、塗り方で美しいのですが、10年もたたずに汚れが目立ってきます。立体的な仕上げにすると、顕著です。
また、劣化からの変色もあります。
タイル&レンガ貼りだと更に耐火性も強く、見た目も長期間維持されるのでオススメです。ただ、かなり重量が上がりますので、耐震性には劣ります。
漆喰だと、真っ白で美しく、経年でより硬くなり、白さもアルカリによる自己洗浄作用で維持されます。無機的な汚れ(排気ガスなど)は付着するので手入れは必要です。ただし、高価です。
エイジングを楽しむためのオススメ
エイジングを楽しみたいのなら、以下の3択だと思います。
- 漆喰
- タイル
- レンガ
なぜならば、これら3つは見た目の美しさが群を抜いているだけではなく、汚れたとしてもそれすら美しくなるからです。
ひびが入っても、汚れても、家が美しくなりこそすれ、美観が悪くなることはありあせん。
身の回りの住宅を思い浮かべて下さい。
漆喰塗りの古い倉。レンガ作りの明治時代の庁舎。タイル貼りの古いビル。どれも味が有って美しいです。
我が家も西洋漆喰にしましたが、10年たっても汚れと言える汚れは有りません。
西洋漆喰は厚塗りするので100年はもつそう。半信半疑でしたが、どうやら本当かもしれません。
また、漆喰の良いところは、汚れても削ったり薄く塗って隠したり出来る事です。
しかも素人がやっても大丈夫。
本当にオススメです。