新築住宅の工法には、大きく分けて以下の工法があります。
- 木造在来工法
- ツーバイフォー工法
- 軽量鉄骨工法
- 鉄筋コンクリート工法
他にもログハウスやレンガ造、古いものでコンクリートブロック積などが有りますが、一般的ではないので省きます。
木材在来工法
木材在来工法は、戦後日本で発達・規格化した木造建築工法です。
日本で「木造」といえば、ほぼこの工法です。
メリットとしては
- 工期が短い
- 材料が安く済むのでコストパフォーマンスが高い
- 扱える建築会社・大工さんが多い為、改築が容易
- 間取り・構造の自由度が高い
デメリットとしては
- 耐震性を高くしづらい
- 気密性・断熱性を高くしづらい
- 施工者の腕で住宅性能がすべて大きく左右される
- 耐久性・耐震性など、材に依存する部分が大きい
- 火事に弱い
という物があります。
また、使用される材には、そのままの木材を使用した無垢材と、薄い板を接着剤でくっつけた集成材とがあります。
無垢材と比べると集成材は工業製品なので強度が安定して高いので、耐震設計などがしやすく、多くの大手ハウスメーカーが採用しています。
しかしながら、その接着剤は100年もつかといわれるとまだまだ議論の余地があるものなので、私は採用を避けました。腐った集成材がボロボロになるのを多数見てきたのも、理由の一つです。
ただ、現在の最新の集成材なら、30年、50年はゆうに持つと思います。
では無垢材はどうだ?というと、正直なところ、杉では腐りやすい材もあったりしますから、100年もつか、といわれれば疑問です。
しかし、構造材にヒノキを選ぶことで、杉よりも少々固いだけではなく、白蟻、腐食のどちらにも格段に強くなります。更に強度と耐久性を求めるなら、総4寸柱(一般的には柱は3.5寸)を選べば、それだけ大きな木材から取れたものになり、そういうものは更に耐久性も高いので安心です。
また、デメリットの気密性・断熱性ですが、これは慣れた大工さんでないと、断熱などの住宅性能をスペック通り発揮するのは至難の業で、気流止めなどの必須工事をしてくれない大工さんも無数にいます。
もしも在来工法をお考えなら、現場発泡ウレタン吹き付けで断熱をとると安心です。
ツーバイフォー工法(木造枠組壁工法)
アメリカ開拓自体に開拓者自身が建てる為に、規格化した材料で簡単に作られるように発達した工法です。
SPFをはじめとしたツーバイフォー、ツーバイシックスの木材で枠組みを作り、片側(もしくは両側)を構造用合板というかなり硬い合板でふさいでいく工法です。
輸入住宅や輸入風住宅が採用している工法。
メリットとしては
- 工期が短くなる
- 耐震性が高い
- 気密性・断熱性を容易に高く出来る
- 規格化された材と簡単な工法な為、住宅性能が安定している
- 気密が取れている為、火事に強い
デメリットとしては
- 合板、SPFともに湿気とシロアリに弱い
- 間取りの自由度に劣る
- 改築が難しい
といった事が挙げられます。
ダグラスファーやウェスタンレッドシダーなどの高級材を使えば構造体の耐腐食性能はヒノキを凌ぎますから、万が一の際にも合板部分の張替えだけで済みます。
この湿気の多い日本では100年もつにはダグラスファーにする必要があるかもしれません。
これまで「ツーバイフォーはすぐ腐る」などと既存の日本の建築会社に言われてきましたが、在来工法の家よりもツーバイフォー住宅の方が腐りやすい、といった統計は皆無で、じっさいに旧木下邸は100年以上持っています。
日本最古のツーバイフォー住宅:旧木下邸
軽量鉄骨工法
軽量鉄骨は錆び防止処理された軽量鉄骨で枠組みを作り、木材で壁などを仕上げていく工法です。
プレハブ工法ともいい、初期は低価格の住宅に使われていましたが、防錆処理の高度化とその強度を生かした長いスパンの間取りの自由度で、段々と高級住宅にも使われるようになりました。
メリットとして
- 耐震性がかなり高い
- 長いスパンで柱を取れる為、間取りの自由度が高い
デメリットとして
- 火事で柱が曲がる、圧倒的に弱い
- コストが高い
- 建物が重くなるため、土地の耐力が必要
鉄と聞くと一見耐久性が高く、エイジング住宅に向いていると思うのですが、鉄骨が常時湿気環境に晒された時の防錆性には疑問が残るのと、熱橋効果なども心配です。
ただ、なかには積水ハイムの様に工場で作られたユニット式の住宅も多いので、そういった施工の問題の少なくなるものなら、かなりの住宅性能と耐久性を発揮してくれると思います。
ただし、そういった住宅メーカーのラインナップには、エイジング住宅に向いている設備などは少なく、理想的な住宅を作る事は難しいかもしれません。
また、鉄骨の防錆処理自体も、ただの亜鉛溶融メッキではすぐに剥がれてしまいます。
大手メーカーの様な(例えば積水ハイムのZAMなど)高耐久の防錆処理の鉄骨を選ぶべきです。
鉄筋コンクリート工法
鉄筋コンクリート工法は世界中の高層ビルでも選択されている工法です。
イメージ通り、高強度高耐久の家を作る事が出来ます。
メリットとして
- 耐震性・耐久性・台風性・防火性などが最高
- 腐らない、劣化しずらい
- 建物価値が下がりづらい
デメリットとして
- かなり重たくなるので土地改良が必須
- コストが段違いに高くなる
- 断熱性能を上げるには更にコストが掛かる
などが言えますが、100年どころか300年もつ住宅さえ作る事が出来ると思います。
ただし、コストが莫大なものになるので、相当にお金に余裕が無いと難しいです。
コンクリート打ちっぱなしだとすぐに汚れてしまうので、外壁材は体躯に見合う、立派なものにしないと、エイジングを楽しめる見た目とはならないでしょう。